創業90周年を迎えて     女将 寒川淑子

丸井旅館創業九十周年を迎えて

 

丸井旅館は、昭和二年に亡父 寒川泉がこの地で宿屋を開いてお蔭様で今年で九十年になります。


これまでには、地域の方々をはじめ多くの皆様方に一方ならぬご支援ご協力を賜り誠に有難うございました。このように無事九十周年を迎えることが出来ましたのも大勢の皆様のご愛顧の賜とここに改めて深く感謝申し上げます。



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先代 寒川 泉
昭和2年 丸井旅館創業
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当時の名刺
住所地は、当時の「日高郡上山路村西」となっています。



思い起こせば、昭和十六年私が小学一年生の十二月八日に太平洋戦争が勃発。二年後昭和十八年六月に父が出征し、その後母は町に出ていた伯母を呼び寄せ助けを借りながら細々と商売を続けました。農家出身の母は、農繁期には近所の農家の手伝いに行かせてもらっていた記憶もあります。




昭和二十年八月十五日・終戦。
あの痛ましい長く苦しい戦いも終わり、それからどれくらい日が経った頃か、引上げ船から復員してくる元軍人さんたちが毎日のように少しずつ帰ってきました。
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まだ太平洋戦争が始まってない平和だったころ。
父と母と私、伯母、お手伝いさんと。
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そのうち父もあの方たちのように帰って来るものと思い、夜遅くまで灯をともし軍靴の音を聞きながら、今宵こそは足音が家の前で止まるかと幾夜も母と待った記憶が今も鮮明に残っています。

しかし、その甲斐もなくその後しばらくして、父は終戦間近の昭和二十年七月十九日南方の小さな島タラカン島で命を落としたことを知りました。


 戦後の混乱で物資の少ない時代の中で三人の子供を抱えての母の生活は大変だったと思います。長女であるわずか十歳足らずの私でも頼りにされ、見よう見まねで旅館の商売を手伝う毎日でした。



細々とした商いでしたが母と三人の子供の生活を守ってくれたこの旅館と、それを支えてくださった多くの方々に感謝しながら、父が残してくれたこの旅館という仕事を大切に、お越しくださるお客様に少しでも喜んでお帰り頂ける宿になれるよう日々努めて現在に至っています。



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出征した後,戦地の父へ送った家族写真。
娘三人を守らなくてはと母の顔が凛としているように思えます。



 今年八十二歳を迎えた私はもちろんのこと後継者で長男の料理長、娘婿の支配人の三人の持ち場は違いますが、目標は同じ『お客様に喜んでいただくこと』に変わりはありません。


現在在籍中のスタッフも皆心を一つにして頑張ってくれており、お蔭様でお客様からの評判も良くとても嬉しく思っております。

チェックアウトのお客様をお見送りした後、お客様が喜んでくださったことをスタッフとともに喜びを分かち合い、今この人たちと一緒に働けることに私自身「生きててよかった」と幸せを感じています。


 九十周年の節目の年に感謝をこめて、私も初心を忘れず心新たに元気で次の創業百周年を目指して生きていきたいと念じています。

最後になりましたが、どうか今後とも相変わりませずお引き立て賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

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   山川の幸手作り料理 心を込めておもてなし

 

   平成二十九年一月吉日

 

田辺市龍神村西九番地の二       

龍神温泉郷         

まごころの宿丸井     

                   女将 寒川淑子
お待ちしております。

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